美術館へ行った

[京都国立近代美術館に「生存のエシックス」展を見に行った。
この美術展は作品を見るというよりは作品を体感するという要素が強くてとてもわくわくしながら館内を歩き回った。
「うぉ、凄ぇ!」となるものから「?」となるものまでさまざまな作品が展示されていた。
中でも一番気に入ったものは「盲目のクライマー/ライナスの散歩」という作品。
展示品のそばにあった参考資料の説明文を引用すれば、「任意の三角形をポリゴン状に連結していくことでかたち作られた、床面、壁面、天井面などの区別を持たない、様々な傾斜の起伏の連続からなる多面体フィールド」だ。
一番高いところでも2m弱くらいの高さなのだが、そこまで登るとその高さに恐怖を感じる。四方が壁に囲まれているスペースはやたらと落ち着きました。ロッククライミング感覚で壁を登ってみたり、だらーと寝転んでみたり、童心に帰って公園の遊具で遊んでる楽しさがあった。
また、一番驚いたのが、「光・音・脳」。この展示品は、これまた近くにあった資料の説明文を引用すれば「鑑賞者が心地よいと感じている光と音の状態を持続させるシステム」なのだ。予約制で予約が満杯だったので体験こそ出来なかったのだけど、見てるだけでも十分に楽しめた。この装置は被験者の脳の血流を測りながら、被験者が見ている視界の色や聞こえてくる音を変化させることによって、その被験者がいちばん心地よいと感じている情報を模索し、それを見つけ出すと維持するという優れもの。これを見て、私は「科学はここまできたか、まるでSFじゃねぇか」と思わずにはいられないほど近未来な光景だった。
他にも宇宙空間に関する展示品や遺伝子組み替えに関する展示品などなど、一風変わったアーティスティックな品々に触れることができて楽しめた。
そう、この美術展の最大の特長は「楽しい」ということだと僕は思う。
崇高な芸術を眺めて感慨深く思ったり、前衛的な芸術を見て、思いを巡らせたりする面白さも美術展の醍醐味の一つではあるけれど、この「生存のエシックス展」は見て、触って、体験して「楽しい」と感じれるこの距離の近さこそが一番の醍醐味だと感じた。]